前回、産婦人科の探し方と予約方法をご案内しました。
アメリカでは産婦人科に連絡してもすぐに診察してもらえる訳ではなく、日本と比較して検査薬で確認してからのタイムラグがあります。
この記事では妊娠が判明してから初診までのリアルな情報をお伝えします。
(※PPOの保険プランを利用して、かかりつけ医を通さず直接専門医の産婦人科にかかった場合の流れです。)
妊娠検査薬でセルフチェック
日本同様、『妊娠したかも?』と思ったらまずは妊娠検査薬(Pregnancy Test)を購入してセルフチェックします。
検査薬はCVSやWalgreenなどの薬局の他、TargetやWalmart、その他のスーパーマーケットの生活用品コーナーに売っています。
種類が豊富でデジタル式や生理予定日前から検査できる検査薬もあります。
私は最初に試した検査結果の判定ラインが薄くて判別しにくかったため、後日複数の種類を購入して再検査しました。
同じコーナーに並んでいる排卵日チェッカー(Ovulation Test)とパッケージデザインが似ているので間違えないように要注意です。
産婦人科の予約を取る
陽性反応が出たら保険のネットワーク内の産婦人科(OB/GYN)に連絡して予約を取ります。
(かかりつけ医がいる場合はそちらでの診察後、産婦人科に紹介という段取りになります。)
この時に通訳サービスが可能な病院であれば、診察時の通訳を予約しておきます。
アメリカでは一般的に最終月経と生理周期から計算して妊娠8~10週頃にならないと診察してもらえません。(不妊治療中や過去に子宮外妊娠した人は例外)
理由として主に、胎嚢や心拍が確実に確認できる時期まで待つこと、高額な医療費の出費を抑えることの2つが挙げられます。
『え?理由はわかるけどそれって大丈夫なの?』と考えてしまいます。
日本であれば妊娠検査薬で陽性反応が出たらすぐに産婦人科で診察してもらえるのが普通です。
子宮外妊娠の可能性だってありうるのだからもっと早くに診察してもらいたいと思いました。
その不安を伝えて早い時期に診察してもらえるようお願いしましたが、NOの一点張り。
これ以上話しても効果はないだろうし、『郷に入っては郷に従え』ということで仕方なく引き下がりました。
予約日までに出血や腹痛などの異常があればすぐに連絡するように指示され、診察日まで数週間待ちました。
※予約から数日後、茶色いおりものが下着に付いていたので気になって病院に連絡しました。
この時はドクター付のナースが電話で状況の聞き取りをしてくれました。
付着している量や色を伝えると、鮮血ではなく少量なので問題ないとの判断でした。
初診日までにしたこと
葉酸または妊婦用サプリメント(Prenatal Vitamins)を飲む
妊娠前から葉酸(Folic Acid)を飲んでいました。
引き続き飲んでもよかったのですが、友達から妊婦用の総合サプリメントを紹介され、葉酸も含まれていたのでそちらに切り替えました。
病院のウェブシステムのアカウント作成
予約を取った後、メールで病院のウェブアカウントを作成するように案内がありました。
これがとても優れもので後々大いに活用しました。
ウェブサイトを利用すれば予約や検査結果の確認、医療費の支払い、ドクターやナースとの連絡など、病院に関連するほぼすべてのことが可能なのです。
急ぎでなければメールで問い合わせできるので、電話で苦労する回数も減りました。
問診票入力
ウェブアカウントに送られてきた問診票の入力をしました。
質問項目や量は病院によって異なると聞きますが、私の病院はとても長い質問リストだったと思います。
まずは自分の健康状況、生活習慣、病歴、妊娠・出産歴、家族計画、避妊方法、住居環境、宗教、人種と多岐に渡る内容でした。
次は子供の父親の情報を入力し、その上双方の家族の病歴まで細かく問われます。
質問されている単語がまったくお目にかかったことがないものばかりで、電子辞書片手に検索に明け暮れました。
面倒ですがこの問診票のデータを基に妊婦と胎児の健康状況や病気のリスクをリサーチするので非常に重要です。
夫の会社への報告
日本だと夫の会社への報告は安定期に入った頃になるのでしょうか。
第一子のときは何もかも初めてだったし、近年赴任エリアで海外出産した社内の方がおらず、どうするべきか報告のタイミングを悩みました。
『家族の健康状況に変化がある場合は報告せよ』とのことだったので、病院の予約を取る頃に直属の上司に報告しました。
(※第二子のときは病院で妊娠が確定してから報告/8週目)
診察当日
『いよいよ赤ちゃんがお腹にいるかはっきりする!』
すでに明らかなつわりの症状が出ていたものの、実際にドクターが確認するまではわかりません。
苦痛な車の揺れも病院に行くためだと思えば我慢できました。
アメリカではよほどの事情がなければ夫婦で診察に行くのが一般的です。
この日は夫も仕事を休んで同行しました。
受付
病院のルールでは予約時間の15分前までに到着するように指示されていました。
手続きに時間がかかるかもしれないと思って予約時間よりも30分前に到着しました。
実際、渡された書類の読解に手間取ったのでこの判断は賢明だったと言えます。
待合室は一体何十人座れるの?というくらい広く開放的で、兄姉を連れてくる人のためにキッズスペースもありました。
まず、受付で予約内容を伝えて保険証と身分証明証(運転免許証が一般的)を提示した後、CO-PAYを支払います。
そして診察に呼ばれるまでの間、病院の規約、同意書、問診票を渡され、記入するように指示されます。
この追加の問診票の内容に驚きました。さすが多様性の国・アメリカ!
妊婦と子供の父親の血縁関係の有無、相手との関係性(既婚・未婚・事実婚など)、どういう経緯で妊娠したか(合意の有無)、などプライベートに踏み込んだ項目が多いこと。
これも専門用語や初めて見る単語ばかりで意味を調べながら2人で必死に読みました。
書類とにらめっこしている間に、通訳の人と合流できました。
基本的に同じ通訳が担当するように派遣会社が配慮してくれるようですが、毎回同じとは限りません。
待ち時間に余裕があれば基本情報、質問事項を伝えておくと診察がスムーズでした。
診察室
アメリカの診察室はほとんどが個室で、患者が通された部屋で待機し、ドクターが移動する形式です。
個室なのでプライバシーが守られ、診察前後の着脱がゆっくりできて良いと感じました。
ドクターが来るまでにナースから予約時と似たような質問(名前、生年月日、住所、健康状態、アレルギーの有無、服用中の薬やサプリメント、喫煙・飲酒の有無、処方箋を送る薬局の所在地など)を受け、尿検査、脈拍、血圧、身長、体重測定がありました。
体重計に乗るとき、靴を履いたままで測定するので、靴の種類によって誤差が生じるのでは?と心配になりました。
今回は直接体内に器具を挿入して子宮内の様子を確認するので脱衣してドクターを待ちます。
下着を脱ぎ、スカートの下で腰から足にかけてバスタオルほどの大きさの紙を巻くように指示を受けました。
スカートやワンピースを着ていたとしても、汚れる可能性もあるので紙を巻くことをすすめられます。
診察に研修医同伴の可否を聞かれましたが、初めての妊娠かつ初診でナーバスなのでお断りしました。
事前に本人の同意を得るのはアメリカ的でしっかりしてると思いました。
「Are you happy?」
いよいよドクターと対面です。
軽く挨拶して、ナースからも受けた問診を確認後、内診へ。
歯医者のような診察台にもたれかかり、膝を折り曲げた体勢になります。
日本とは違ってドクターとの間のカーテンや足を開いて置く場所もありません。
この診察形式、好みがあるでしょうが、私は日本で子宮頸がん検査や結婚前のチェックアップを受けた時よりも抵抗なかったです。
診察台に座って自動で足を開かされると緊張して体が固まってしまう上に、見えないから何をされているかわからない恐怖感がありました。
それに比べて、アメリカの診察台は自分で体勢を調整できるので、リラックスして診察を受けられます。
夫に手を握ってもらって経膣用のUltrasound(超音波検査)器具がゆっくりと体内に入っていくのを待ちます。
モニター画面に子宮内の様子が映り、同時に『ドッドッドッド』と小刻みに何かが震えるような音が聞こえました。
『Congratulation!!』の言葉でちゃんと赤ちゃんがお腹で生きていることがわかりました。
豆粒よりも小さな体ですが、しっかりと心臓が動いています。
もっと衝動的に喜びの声が出てくるものかと思っていましたが、画面から目が離せず、夫の手を握る力が強くなっただけでした。
しばらくしてじんわりと幸せな気持ちが大きくなりました。
静かな私の反応に対して、ドクターが『Are you happy?』と聞いたので心配されてしまったのかもしれません。
きっと子供ができて嬉しいアメリカ人はもっと大っぴらに喜びを表現するのでしょう。
その後、妊娠期間中の注意事項を受け(食べ物、運動、性行為など)、質疑に。
当時、体中が痒くなっていたので対処方法を聞き、保湿用のクリームを塗るように指示されました。
また、サプリメントも処方してもらえるというので、お願いすることにしました。
処方箋は指定した薬局(自宅や職場付近など自分で選べる)に電子処方箋としてデータを送ってくれるので病院の後に受け取りに行くだけです。
電話番号のテキストメッセージを登録しておくと準備ができたらメッセージを送って知らせてくれます。
病院のパンフレット、妊娠から出産までを細かく記載した分厚い本を渡され、診察は終了です。
チェックアウト
チェックアウトデスクに寄って、出産までの診察予約をすべて入れました。
半年以上も先の予約時間なんてわからないのに…と思いますが、とりあえず予約を取っておいて後から調整することも可能です。
事前会計なので診察後の支払いはありません。
最後に、同じ病院内の検査室に行って採血をしました。
病院も分業が明確なので、採血や検査は診察とは別部門で行います。
病院によっては病院外の施設に移動して行うよう指示を受けるところもあるので、時間は少し多めにみておくのが無難です。
まとめ
初診まで長い道のりだったのに診察はあっという間に終わってしまいました。
何はともあれ正常妊娠で赤ちゃんも元気で良かったです。
ドクターについては判断材料が少ないので、数回の検診を経るまで判断を見送ることに。
ただ、彼女も昨年に出産経験があるとわかって信頼度が上がりました。
事前の問診票ではアメリカの多様性を垣間見た気がします。
そして妊婦がどのような経緯で妊娠して、現状を把握した上で対応してくれる配慮はありがたいと思いました。
そして通訳の偉大さを実感しました。
元々英語が苦手な我々夫婦は、通訳なしではこんなにスムーズな診察は受けられなかったはずです。
日本語から英語への言い回しもとても勉強になるので、自分も聞きながら覚えられる機会ができました。
病院もスタッフの対応もきちんとしていて好印象でした。
予約時は大変でしたが、苦労してでも安心できる病院を探してよかったと思います。
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