お手伝いさんを雇うなんて、相当なセレブにしか考えられませんよね。
でも実は、タイの駐在生活では割と一般的です。お手伝いさんのことをタイ語では「メーバーン」といいます。
日本人社会の間では、「メイドさん」「アヤサン」が一般的な呼び方です。
シラチャでは「メイドさん」と呼ぶのが主流ですが、バンコクでは「アヤサン」と呼びます。
ややこしいので、ここでは呼称を「メイドさん」に統一しますね。
ちなみに何故「アヤサン」なのか語源は諸説ありますが、わかっていないけど、みんなが呼ぶから・・・という感じで答えはわかりません。
同じタイでも住む場所によって、メイドさん事情はかなり異なります。今日は、そんなお手伝いさんのお話しをしていきたいと思います。
1、タイの賃貸住宅事情
まずはメイド事情のお話しに入る前に、それに関わるタイの住宅事情について少し触れておきしょう。
以前の記事でご紹介しましたが、タイの賃貸物件は大きく分けて4種類です。
- コンドミニアム
- アパート
- サービスアパート/ホテルレジデンス
- ムーバーン
この4種類の中で、元々家賃にメイドサービスが含まれているのがサービスアパートです。
バンコクでは、駐在家族のほとんどは、コンドミニアムかアパートに住み、単身駐在や長期出張者の多くが、サービスアパートに住んでいます。
一方、シラチャでは物件のほとんどがサービスアパートです。
つまり駐在先がバンコクならば、まずはメイドサービスの利用の有無を考える必要がありますが、シラチャに駐在するならば(もちろん例外はありますが)考えなくてもメイドサービスが付いていることが多いのです。
以上のことを踏まえて、あなたがタイに駐在してメイドさんを雇うことを決めたとき、突き当たるであろう疑問にお答えしていきたいと思います。
2、メイドさんのお給料事情
もしも、メイドさんを雇うならいくら必要なのでしょうか??地域別にご紹介します。
<バンコク>
お部屋の広さ、家族構成、勤務日数と労働時間、仕事内容によって、お給料は千差万別。
金額に幅がありますが、1ヶ月4,000~12,000baht(約14,000~42,000円)を一つの参考基準として考えて下さい。
基本的に、「この勤務内容で月**baht」という条件を、雇用主とメイドさんが直接交渉するのが一般的です。
そして年1回のボーナスと、タイ正月にあたるソンクランにお小遣いが、月々のお給料以外に必要です。
また、長く勤めてくれてたら年に1回は昇給して、メイドさんの働きを評価することも大切です。
週1回だけ来てもらうよりも、回数が多い方が一回当たりの金額が割安になることも忘れてはいけません。
<シラチャ>
バンコクとは異なり、月単位での契約は少ないです。仕事内容によっての金額の変化もあまりありません。
1回 300~1,000baht(約1,000~3,500円)が相場です。
次項に詳しく述べますが、メイドさんをどのように探すかによって金額が変わってきます
3、メイドさんの雇い方
日本のように、家政婦紹介所から派遣してもらったり、ダスキンさんのように企業から派遣されるメイドさんは殆ど居ません。
ではいったいどうやって、メイドさんを探して雇っているのでしょうか?
<バンコク>
前任者からの引き継ぎや、コンドミニアム内で他の家庭に勤務しているメイドさんを紹介してもらうことが多いです。
日本人向けに発行されているフリーペーパーで、メイドさんの紹介や募集記事のコーナがあり、それらを利用することもできます。
バンコクでのメイドさん探しには、日本人コミュニティーのつながりが必要不可欠です。
<シラチャ>
物件を仲介した不動産会社がメイドさんの人材派遣を行っています。
このメイドさんが最も賃金が高いです。メイドさん本人のお給料と、不動産会社へのマージンがまとめられていることが理由だと考えられます。
物件を借りる際に、オーナーさんに直接「メイドサービスを付けてほしい」と要望する事が出来ます。
その際はオーナーさんがメイドさんにお給料を支払い、家賃にインクルードさせるというシステムです。メイドさんの雇用主はオーナーさんなので、ボーナス等は気持ち次第です。
他にもバンコク同様、紹介を受けたりすることもあります。
ただし、大きく違うのは日本人から紹介してもらう事は殆どないという事です。
もともとメイドサービス付きの物件に住んでいるお友達の家のメイドさんに、そのお友達を紹介してもらうという少し複雑な紹介システムです。
「私の友達がメイドの仕事をしたいって言ってるから、奥さんのお友達を紹介してくれない??」とメイドさんから頼まれた、という話しもよく聞きます。
そして、語学学校の先生や習い事の先生等、お友達や知り合いになったタイ人に紹介してもらうことも多いです。
タイ人を通じて紹介してもらうと、賃金は前述のメイドさんより安くなります。
4、メイドさんの仕事内容って?
メイドさんを雇ったら、一体どこまでやってもらえるの?そんな疑問にお答えします。
<バンコク>
最初の契約によって、仕事内容は異なりますが、基本的な家事(掃除・洗濯・アイロンがけ・食事の支度)は全て対応してくれます。
なかには日本人家庭を渡り歩いて、日本食まで作ることができる、すごいメイドさんもいたりします。
家事以外にも、子供の送迎や日用品の買い出しなど、契約内容によって仕事内容は多岐にわたります。
基本的には、最初の契約の時にお願いしたいことを伝えて、賃金の交渉をするので、最初に言っていなかったことをお願いするときはお小遣いを渡したりして随時対応する感じです。
<シラチャ>
物件付きのメイドサービスはお部屋と水回りのお掃除とベッドメイクのみ、というのが主流です。
洗濯やアイロンがけは物件のランドリーサービスを利用し、月の枚数制限があることが多いです。部屋に洗濯機自体がないこともあります。
物件を経営する会社がメイドさんを雇っているので、毎回違うメイドさんが訪ねてくることも多いです。
エアコン掃除などの特別な掃除は、メイドさんとは別で「メンテナンスさん」という人が訪ねてきます。
担当制のメイドサービス付き物件では、仕事内容も少し違い、食器洗いや洗濯・アイロンがけ等、料理以外の家事全般をしてくれます。
筆者は犬を飼っているのですが、旅行中の散歩や食事の世話などをお願いしたこともあります。
その際は1回につき50baht(約180円)を報酬としてお支払いしました。
担当制メイドさんの基本以外の仕事は、その都度報酬を支払って交渉することが多いです。
室内を担当するメイドさんとは別に、お庭のある物件では庭師さんを雇ったりもします。
日中の気温が40度を超すことも多いタイでは、庭師さんのお仕事は本当に過酷です。
ですが、庭師さんはタイに出稼ぎに来ているラオスやミャンマーの方が多いので、賃金はメイドさんよりも安いです。1回100~300baht(約350~1,000円)が相場です。
メイドさん時々メンテナンスさん(まれに庭師さん)のお仕事は、家に関する事全般で、
生活に関することは、交渉次第、というのがシラチャでは一般的です。
5、メイドさんとはどうやってコミュニケーションをとるの?
実際メイドさんを雇ってから、どうやってコミュニケーションをとればいいのか不安ですよね。
これにも地域差がかなりあるので、ご紹介しますね。
<バンコク>
脈々と日本人家庭で受け継がれてきたメイドさんたちは、日本語を話せる方もいます。
日本人の家庭で働くメイドさんは、紹介や引継ぎでずっと日本人を相手にすることが多いので片言のタイ語や、英語でコミュニケーションをとることに長けています。
<シラチャ>
基本的にタイ語のみです。
タイ語がまったくできない家庭では、メイドさん以外のスタッフが英語が喋れたりするので、要望等は言葉の通じる誰かを介してメイドさんへ伝えます。物件に日本人スタッフや、日本語通訳が常駐していたりすることもあります。
メイドさんに限らず、海外での生活は常に言葉の壁が付きまといます。熱意とジェスチャーが意思を伝える最大の近道です。
今どきは、翻訳アプリなども充実しているので、心配は無用です。タイ語学習の一番身近な練習相手として、メイドさんと積極的にお話ししてみましょう。
6、メイドさんのトラブルが心配?
便利そうだし、メイドさんを雇いたい。でも・・・。
外国人が自宅に入ってくることや、留守中のお掃除で鍵を預けたりするのは不安。という方も多いでしょう。
この不安に関しては、地域に関係なくメイドさん個人の資質によるでしょう。
トラブルとしてよく挙げられるのは
金銭問題
家庭内の現金を盗んだり、お給料の前借り依頼や借金のお願いなど。
感覚の違い
約束の時間を守らない。遅刻が多い。という時間に関する事。
お願いしたことをきちんとやってくれない。といった仕事内容に関する事。
物をよけて掃除しない、床とテーブルを同じ雑巾で掃除する。といった清潔に対する感覚の違い。
窃盗
調味料や日用品、食材などを盗む。洋服や鞄、宝飾品などを盗む。
中には旦那さんを盗られたという不穏なオハナシまで。
トラブルは発生するとすぐに噂になり、あっという間に日本人コミュニティーに広がるので、日常的に起こっているかのような錯覚を起こしますが、実際はそれほど多くは無いようです。
現に、筆者は5年間のタイ生活で、一度も金銭問題や窃盗のトラブルに巻き込まれたことはありませんし、知る限り友人でも一人もいません。
“感覚の違い”に関しては、話し合って解決していくしかありません。ただし、タイ人はプライドが高い国民性で怒られる事を極端に嫌います。
人前で怒鳴るなんてことはもってのほか!!
必ず、お願いするというニュアンスで話し合う事が大切です。
全て雇ったメイドさん次第ですが、不要なトラブルを避けるために雇う側も気を付けておきたいことは
- 現金を見えるところに放置しない
- 貴重品は金庫に保管する
- 触っていいところ、掃除が必要な個所は最初に必ず話しておく
- どんなにいい人でも、長く勤めてくれていても借金の依頼には応じない
- 神経質になりすぎず、メイドさんのやり方を尊重する
7、まとめ
色々とお話ししてまいりましたが、皆様の気になっていたことの答えは見つかりましたか?
駐在生活は、様々な制約の中でストレスがたまることも多いです。そんな中、家事の負担が多少でも軽くなることで、解消されるストレスも沢山あります。
専業主婦なのにメイドさんを雇うなんて贅沢!!と頭ごなしに否定せず、慣れない海外生活を、身近でサポートしてくれる人=メイドさんという感覚で、選択肢の一つとして考えてみてください。
あなたのこれからの駐在生活が充実したものになりますように!!
メイドさんは憧れますが、日常生活のことをお願いするのですから、同じ日本人ですら感覚の違いに戸惑ったり、腹を立ててしまうこともあります。もしかしたら逆に言葉が通じにくかったり、国が違うことではじめから感覚が違って当たり前と思って接することができるのかなと思いました。
よんよんさん
コメントありがとうございます。
おっしゃる通り、細かなニュアンスまでは伝えられない語学力が、かえってコミュニケーションを円滑にしている気がします。
タイ人は基本的に、人懐こくて人情深いので、いろいろな感覚の違いがあっても、良いお付き合いが出来ている方が多いと思います。