「駐在すると帰国した時には、家が買える」という噂話があります。
TV番組に出てくる駐在妻たちの生活は華やかで、なんだかすごく贅沢な暮らしをしているように見えます。
実際は…?
生活にはどのくらいお金がかかるの?
貯金は出来るの?
今回は、そんな具体的なお金のお話しをしたいと思います。
駐在するとお金って貯まるの??
どんなジャンルの話でもそうですが、お金のことに関しては“ものすごく!”個人差があると思います。
なので、今回のお話しは、私と私の周りのごく限られたお話です。
そして…。タイトルの答えですが、「強い意志を持てば!」貯まると思います。
会社ごとにルールは様々ですが、我が家は、日本でのお給料は日本の口座に入金され、タイでのお給料は現地通貨でタイの口座に入金されます。
日本のお給料はつるんっと基本給のみです。
2つあるので、お給料の金額が増えるというのももちろんですが、駐在生活は、出費が大きく違います。
タイでの生活で、会社が負担してくれる費用は以下の通りです。
①家賃
②車両代(我が家は専用車が1台。ガソリン代も全て会社負担。)
③医療費(海外旅行保険に加入して費用は会社負担)
④渡航費(年1回の日本帰国の費用)
生活していく上で、一番のウェイトを占める「家賃」がかからないのです。
そして、車のローンも車検も、ガソリン代もありません。
それだけでも、“貯まる”感じがしますよね。
冒頭の「強い意志を持てば」の但し書きについては後々ご説明しますが、駐在生活できちんと貯めている家庭の多くは「日本のお給料には手を付けない」で生活しているようです。
つまり、日本の口座に入ったお給料は丸ごと貯金。
駐在期間は3~5年が多いので、その分のお給料が貯金されると考えると、お家の頭金には十分ですね!
ただし!これが机上の空論にならない様にするには、貯金の為の強い意志が必要なのです。
駐在生活で実際に使うお金
現地のお給料のみで生活のすべてを賄って、日本のお給料はすべて貯金。
これが理想の、駐在貯金術だとお話ししました。
実際、生活にかかる費用はどのくらいなのか?全て賄えるのか?
検証してみましょう。
生活にかかるお金は、
①光熱費
電気代は住んでいる場所によって価格が違います。
「1ユニット(1KWを1時間消費した電力量)いくら」という計算ですが、電力会社からの直接請求と、物件オーナーからの請求で金額が違います。
サービスアパートやホテルに住むと割高です。
常夏のタイではエアコンはフル稼働。
更に日本に比べて部屋が広かったり気密性が低かったり、と悪条件が揃っています。
また、都市ガスが整備されていないタイではオール電化が多いので電磁調理器の電気代も侮れません。
家族構成で幅はありますが3~7,000バーツ(約10,000~25,000円)と、かなり高額です。
ガスコンロの家は非常に少ないですが、プロパンガスは15キロで400バーツ(約1,400円)です。
これで3ヶ月位は使用可能なので、ガスはお安いですね。
ただ、ガスコンロの真下に直接ホースでつないでいるという、なんとも不安な造りです。
水道代は月200~800バーツ(約700~2,800円)ですが、水道とは別に“お水代”を考えなくてはいけません。
タイの水道水は飲めません。蛇口の水をお風呂に溜めると茶色いです。
なので、浄水器やウォーターサーバーを設置したり、ペットボトルのお水を購入したり、と水代が水道代とは別にかかります。
浄水器は月1,000~1,500バーツ(約3,500~5,300円)と高額です。
このように、タイでの光熱費は決して安くありません。
②食費
物価が安いと言われるタイですが、タイで日本の食生活を送ると、約3倍の費用が掛かります。
日本のお米は5キロ600~バーツ(約2,100円~)。調味料の価格は日本価格×バーツレート(約3.5円)。
野菜もきゅうり2本で70バーツ(約245円)というように、日本の食材は高級です。
バンコクの日本食スーパーのチラシです。シラチャでも価格は変わりません。
タイ産の野菜や、調味料は安いので、うまく代用しながら日々の食事を作っている方がほとんどです。
それでも、食費は日本と同じ位~1.5倍程度の家庭が多いです。
③交際費
日本に比べてかなり大きな割合を占める項目です。
周りも専業主婦しかいない駐在生活は、妻の交際費も日本とは比較になりません。
本帰国シーズンともなると、連日の送別ランチ会、送別品のプレゼント代etc…など出費が重なります。
ちょっといいところでランチ、となると1,000バーツ(約3,500円)も当たり前です。
そして、夫も休日ごとに設定されるゴルフのお付き合いや、日本では考えられない接待の日々。
日本のお父さんのお小遣いの、3~5倍の交際費がかかることもザラです。
もちろん、家庭や職種によって様々です。
ですが私の印象としては、交際費が家賃程の割合を占め居ている感覚です。
④レジャー費
ココが貯金にダイレクトに影響を及ぼす部分だと思います。
タイに住んでいる駐在家族は、日本に比べて、格段に多く家族旅行に出かけています。
連休前になると必ず「今度の連休どこに行く?」という、出かける前提の会話が交わされます。
タイにあふれる日本人向けフリーペーパーも「年末年始はドバイ!」「タイ駐在中に行っておくべきモルディブ」といった特集を組んで煽ってきます。
この旅費に、日本のお給料を使ってしまうと貯金は一向に貯まりません。
家族4人の海外旅行なんて、日本に住んでいれば多くても1年に1度の贅沢、という家庭が多いでしょう。
タイ駐在家庭は「年末年始」「ソンクラン(タイ正月)」「夏休み」に「どこ行く??」が繰り広げられるのです。
そして1年に、1度か2度は日本への帰国。
会社によって渡航費用を負担してくれることもありますが、年に1回もしくは2年に1回という企業が多いです。
その為、それ以上の帰国は全て自腹。
このレジャー費の出費が、駐在生活で一番大きな額になると思います。
⑥教育費
お子さんがいらっしゃる家庭では教育費も大きな出費の一つです。
会社によって、
・幼稚園からすべての費用が会社負担
・義務教育の日本人小・中学校の学費のみ負担
・全額自己負担
と様々です。
また、通学に伴うスクールバスの費用は自己負担というところも有り、日本人学校の送迎バスは学期ごとに2~30,000バーツ(約70,000~105,000円)かかります。
シラチャでは日本人学校の正面にある住宅が、バス代節約のため人気があります。
会社がどこまで学校関係の出費を負担してくれるかは、かなり家計に影響する重要事項です。
また、子供の習い事も1つ2~3,000バーツ(約7,000~10,000円)程かかります。
日本と違って、放課後に部活動が無いので、学校から帰ったらサッカーやダンスといった運動系の習い事や、塾に通う子供が殆どです。
駐在生活で困る、お金の話
日々の生活費とは別に、気を付けておきたい駐在生活のお金の話に「マイナンバー」があります。
近年重要視されるようになってきたマイナンバー制度は海外在住者は対象外。
住民票が日本になければ、持てないのです。
その為、マイナンバーが必要な取引や契約は全て行う事が出来ません。
私はマイナンバー制度が実施される前に渡タイしたので、マイナンバーが何たるかを知らずに生きてきました。
ところが最近、一時帰国の際に、銀行関係の諸々にマイナンバーが無いことへの弊害をたくさん感じています。
日本の口座から、海外の口座に送金するにもマイナンバーが無ければ…というシステムになって、日本のお給料はタイで下すことができなかったり。
マイナンバーの壁が駐在生活には高く立ちはだかります。
駐在生活の前に、マイナンバー制度に関わるお金関係の事をクリアにしておくことを、強くお勧めします。
まとめ
実際に駐在生活者同士で、お金の話をする機会はほとんどありません。
ただ、節約の話題は良く出ます。
駐在生活は、家賃などの大きな出費が無い分ゆとりを持って生活ができます。
ですが、日本に本帰国になった際に必要な家具家電、車や住居という大きな出費の為にタイでの生活を節制している方が殆どです。
私とその周りのみの偏った情報ではありましたが、何かの参考になれば幸いです。
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