ご存知の方が多いかもしれませんが、アメリカは産後の入院期間は驚くほど短いです。何も問題がなければ、経膣分娩で2泊、帝王切開の場合3泊で退院となります。
私は日本での出産経験がないので比較は難しいですが、アメリカの入院中の様子をお伝えしたいと思います。
出産レポ①~④の記事はこちらからご覧ください。
アメリカは生まれた直後から母子同室
まず、病院は個室で母子同室が基本です。
帝王切開、産後のベビーと母親の容態により同室で過ごすことができない場合はナースステーションやNICUでベビーを預かってくれます。
病院にいる間、ベビーはバシネットまたはコットと呼ばれるベッドに寝かせます。
キャスターと収納付きで、オムツやワイプなどお世話に必要なものは収納でき、移動するときはそのままバシネットごと移動します。
付き添いがおらず、シャワーを浴びる時、病室から出る用事があって、ベビーから目を離すときはナースに見てもらうことができます。
また、産後すぐからまとまって眠れないこともあると思います。
頼めばナースステーションで預かってもらえるので辛い時は我慢せずに相談してみるといいでしょう。
事務手続き
出生届記入&提出
病院で用意されている出生届の用紙に記入し、退院までに提出します。
出生届の担当者が病室まで回収に来てくれました。
事前にお住まいの地域の出生届の記入例を調べておくと記入する情報がわかりやすいです。
出生届を提出し、登録されると後日SSNや出生証明書が送られてきます。
(※出生証明書は地域によっては自分で申請して取得するところもあります。)
加入している健康保険会社に連絡
私が当時加入していた健康保険ではマタニティプログラムがあり、出産後に保険会社に連絡する必要がありました。
また通常よりも入院が延びる場合もわかった時点で連絡をするように言われました。
ベビーの診察、処置
小児科医のチェック
毎日小児科医が健康観察に病室まで訪問してくれました。
基本は出産した病院在中のドクターが行います。
入院中に一度は産後に予定していたかかりつけの小児科医が訪問してくれます。
私の出産した病院では出産前に産科に情報を伝えておけば、産後の連絡は病院同士で行ってくれました。
退院後の小児科受診予約
かかりつけ小児科医の診察が終わり、退院日の目処が立ったら小児科の初診日を決めて予約します。
予約は小児科医が手続きをする場合もあれば、自分で電話またはオンラインで申し込みをする場合もあります。
スクリーニング
入院中に必要な聴力、血液検査を行います。
検査結果の紙をもらえるので保管して退院後の小児科受診に持参するといいです。
予防接種
生後24時間以内にB型肝炎(HepB)の予防接種をします。
割礼(男の子のみ)
希望すれば入院中に割礼を行ってもらえます。
出産前と考えが変わって割礼する/しないを変更することも可能です。
黄疸のチェックと対処
生後のベビーによく出る症状のひとつが黄疸です。
体重減少率と血液検査の数値によって判断します。
状況によっては紫外線を当てて光線治療を行い、入院期間が延びたり、退院後も病院に通うこともあります。
子供たちも黄疸になり、特に1人目のときは退院後も病院通いでした。
私の周囲の方々のデータになりますが、約半分くらいの人が黄疸になったと聞くのであらかじめなる可能性が高いと考えておいた方が少しは気持ちに余裕があると思います。
ベビーのお世話
日本で出産した友達から聞くような、グループでの授乳や入浴指導はありませんでした。
聞けば教えてもらえるけれどなかなかうまくできない上に、毎回聞くのも申し訳なく感じて1人目のときは遠慮してしまいました。
他にもアメリカで出産経験のある人達の話を聞くと、病院で入院中のカリキュラムとしてお世話の仕方を教えてくれるところはほとんどないようです。
ただ、自分から聞けばナースやラクテーションコンサルタントが教えてくれます。
両親学級や授乳講座などがあるので必要だと思う人は自主的に受講するんでしょうね。
授乳と排泄の記録を付ける
部屋に記入シートが置いてあり、生後から退院までの間は授乳した時間とオムツ交換したときに記録を付けるように言われました。
頻度が多いときやお世話する人が多いとつい抜けてしまいますが、この記録はベビーの様子を観察するのに重要な判断材料なので必ず記録しておくことをおすすめします。
授乳指導
私が出産した病院は母乳育児を推奨し、特に力を入れていたようです。
ラクテーションコンサルタントが1日1~2回程度巡回し、授乳方法の指導やアドバイスをしてくれました。
ベビーの口や吸い方をみて、どのポジションでの授乳方法がいいか教えてくれます。
また退院後も病院の授乳部門に連絡すれば母乳トラブルの相談や対応をしてくれます。
スポンジバス
日本式の沐浴とは違って、へその緒が取れるまではお湯には浸からずに濡らしたスポンジやタオルなどで体を拭く入浴方法をします。
病院スタッフがベビーの体をキレイにしてくれている時に聞いたらやり方を教えてくれました。
私は産後24時間ベッドの上から動けなかったので遠くから見るだけで、夫と母が教えてもらいました。
後から動画も撮っておいてもらえばよかったと思いました。
スワドルの巻き方
おくるみで巻くことをスワドルと呼びます。入院中のベビーはオムツと下着の上からフワドルを巻いているスタイルが多いようです。
ナースは手慣れたもので素早くしかもほどけないようにしっかりと巻いてくれます。
その方法を知りたくて何度か見せてもらい、動画も撮りましたが上達するまでに随分時間がかかりました。
オムツ交換
新生児は本当に小さくてオムツを替えるときも壊れそうで気を遣います。
本や動画で方法はわかっていても、実際に生身のベビーでやると全然違います。
最初はナースにオムツ替えの見本を見せてもらい、あとは見よう見真似でした。
母親の診察、処置
バイタルチェック
ナースが定期的に行う脈や血圧チェックとドクターの腹部や陰部診察がありました。
産後のトイレは最初の尿2回、便1回は量と時間を報告するように指示されます。
また、産後は陰部を始め全身に痛みがあったので痛み止めの薬を処方されました。
痛いときは我慢せずに服用した方がいいと言われます。
陰部のケア
私は2回とも経膣分娩で会陰裂傷した陰部のケアをナースから指導されました。
トイレ後の洗浄方法や痛みを感じるときのアイスパッドやコールドスプレーの使い方などです。
その他
面会
家族以外の面会もドクターが許可すれば可能です。
身分証明書を持参して、病室の番号と面会相手の名前を伝えれば手続きできます。
出産報告をすると病院に来たいと言う人が多くて驚きました。
偏見だったら申し訳ないのですが、日本人以外からの申し出が多かったです。
どこで線引きするか難しいところですが、帰国間近で会えるかどうかわからない人、前職のボスは面会に来てもらいました。
でも退院まで短いし、産後で疲れているときの面会はなるべく断った方が自分のためだと思いました。
写真撮影
病院と提携しているカメラマンが家族写真を撮りに来てくれます。
撮影自体は無料で、後日出来上がった写真をウェブサイトで確認し、気に入ったらデータを購入するスタイルでした。
夫がいない時に突然訪問されましたが、事情を話すと時間を調整して再度来てくれました。
カメラマンがバスケットやブランケットなど小物を持参していますが、使って欲しい小物を持参しておけばそのアイテムを使って撮影してくれます。
退院後は忙しくて新生児の記念撮影をする機会は難しかったので、このサービスはとてもありがたかったです。
食事
食事は毎回自分の都合のいいタイミングに電話でオーダー制でした。
注文を受けてから届くまでに30分くらいかかります。
出産した病院は美味しいと評判でしたが、メニューはやはりアメリカン。
それでも種類が豊富で組み合わせも選べたので食事面での不満は少なかったです。
しいて言えばお米が食べたかった…。
入院中、1回は2人分の食事が用意され、家族でお祝いできるセレブレーションミールが提供されました。
朝食メニュー
おわりに
院内の様子が少しは伝わったでしょうか?
個人的な感想では入院中は慌ただしかったです。
病院関係のスタッフが検査、指導などで頻繁に部屋を出入りしていました。
いつ、何を行うというのがわからないので、自分が休憩しようと思ったタイミングやうとうとしている時に来られることも。
また、不安なことや質問は遠慮せずにどんどん聞いた方がいいと思いました。
そして付き添いなしで体が辛い、眠れない時は頑張りすぎずにナースに頼ってベビーを預かってもらってよかったです。
コメントを残す