アメリカでは定番になりつつある南部のお祭り「マルディグラ」。
ルイジアナ州ニューオーリンズから広まり、今ではルイジアナ州以外でも各地で行われています。
キリスト教の行事という伝統的なお祝いですが、羽目を外した一面もあります。
それゆえアメリカでは一風変わったお祭りとして認識されています。
今回はそのマルディグラに参加した体験談を紹介しますね。
マルディグラとは?
由来
アメリカ南部では有名なお祭り「マルディグラ(Mardi Gras)」は
フランス語の「太った火曜日」を意味する言葉で、キリスト教の行事である謝肉祭が起源です。
ヨーロッパを中心にカーニバルとしてお祝いされています。
有名なリオやベネチアのカーニバルの名を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
古来のヨーロッパでは寒い冬には悪魔が来ると考えられていました。
そして春が近づいてくると歌や踊りで大騒ぎをして悪魔を追い払うお祭りを行っていたそうです。
キリスト教ではキリストの復活をお祝いするイースター(復活祭)の前に40日間の節制期間があります。
四旬節と呼ばれるその期間は肉やお酒断ち、質素に過ごさなければなりません。
その前に盛大にお祝いして過ごす行事が悪魔祓いと融合して今のカーニバルになったと言われています。
開催時期
毎年2~3月に行われます。
謝肉祭までの約2週間で週末が2回含まれるようになっています。
街のいたるところでマルディグラの飾りつけがされています。
ニューオーリンズのマルディグラ
ニューオーリンズは過去にスペインやフランスの植民地だった歴史があります。
移民してきた人々がキリスト教文化を広め、それに伴う行事も定着したのでしょうね。
ニューオーリンズの特徴
ニューオーリンズではマルディグラ当日までの期間、毎日イベントやパレードが行われます。
昔は大農園を経営するお金持ちが貧しい人々にお金や宝石をばらまいていたそうです。
現在では仮装した人々が何十台もの山車に乗って街を移動し、
お菓子やビーズのネックレスを観客に向かって投げていきます。
バーやイベント会社が主催する仮面舞踏会やパーティーもあり、週末には多くの観光客で賑わっています。
マルディグラカラー
紫、緑、金はマルディグラ・カラーと呼ばれており、お祭り期間はこの3色で街がデコレーションされます。
衣装やビーズのネックレスもこのカラーを組み合わせたものが多いです。
キングケーキ
マルディグラに食べる伝統的なお菓子があります。
薄く伸ばした生地を編んで楕円形にし、紫と緑と金色の砂糖をまぶしたケーキです。
中には豆や小さな人形が隠されていて、それを見つけた人は次のキングケーキを買うか、
次のキングケーキパーティを催さなければならないという習慣があります。
運試しみたいなもので、ケーキを食べるときは盛り上がりそうですね。
パレードに参加
週末には昼と夜のそれぞれ2回パレードが行われます。
山車や行列が練り歩く通りは交通規制されていて、安全のために車道と歩道の間に柵が設置されていました。
パレードは地元の何らかの団体に所属している人々がグループごとに登録して行列に参加しているようです。
昼には子供や学生の参加者が多く、学校のマーチングバンドやダンス、チアリーダークラブをいくつも見かけました。
仮装して昼のパレードに向かう人々
「さぁ、ネックレスをたくさんゲットするぞ!」と意気込んで人混みの中に紛れて頑張ってみたのですが、なかなか難しいものです。
自分の方に投げてもらっても手を伸ばしてキャッチできそうだと思ったら、
周りの背の高い人々が先に掴んでしまいます。
そして勢い余ってぶつかってしまったり、目測を誤ってネックレスが顔や頭にぶつかっている人も見かけました。
これは気を付けていないと怪我をするかもしれない…思ったよりも危険が潜んでいると感じました。
山車からネックレスを投げる人々にアピールをする観客
観光や食事を挟んでメインの夜のパレード。
昼間よりもさらに多くの人が柵の前に押し寄せておしくらまんじゅう状態。
夜の方が一段と盛り上がると聞いていた通り、皆さんお酒も入っていてテンションが高いです。
ネックレスの争奪戦も激しく、より多くキャッチしようとしてアピールも絶えません。
中でも通りの向かいにいた女性グループのパフォーマンスは忘れられない出来事でした。
おへそが見えるタンクトップにチュチュを履き、装飾がついている大振りのネックレスを
コレクションのようにたくさん首にかけていたのでとても目立っていました。
でも彼女たちが注目を集める理由はそれだけではありません。
なんとネックレスを投げてもらうために胸をあらわにしていたのです。
稀にそんな行動をする人もいる、という話は聞いていましたがまさか本当に遭遇するとは思いませんでした。
こういう面も含めてこのイベントがクレイジーと呼ばれている理由がわかった気がします。
思いの他たくさんのネックレスをキャッチでき、私も首にじゃらじゃらつけて満足でした。
パレードが終わってもお祭り騒ぎは終わることなく、そのまま飲み屋街のバーボンストリートの方へ人が流れていきます。
ここもまたカオス状態で、バーの2階テラスで飲んでいるグループが
通行人に向かってネックレスを投げる仕草をしてからかっていました。
このような光景はニューオーリンズでは日常的なものだそうです。
※州の法律では胸を露出する行為は取り締まりの対象になっています。
マルディグラの期間は多少大目に見てもらえるようですが、度が過ぎれば逮捕されます。
ジャズと南部料理の街を観光
お祭りに焦点を当ててきましたが、マルディグラ以外の時期でも観光を楽しめる場所です。
古い建物が残っている旧市街は鉄製のテラスが特徴的です。
レースのように繊細な装飾が多く、模様の違いを見て歩いているだけでも面白いです。
ジャス発祥の地として街中ではストリートパフォーマンスをする演奏家がいたるところで見られます。
古くからある有名なジャズバーが何軒もあり、毎晩違うプログラムを楽しめます。
そしてケイジャンやクレオールといった南部料理!アメリカに住んでいる間に何度も食べました。
そんなニューオーリンズのおすすめ観光スポットをいくつか紹介しますね。
マルディグラデコレーションされたテラス
観光スポット
フレンチクウォーターと呼ばれる旧市街エリアに観光スポットが集まっていて徒歩で観光できます。
セントルイス大聖堂…カトリック教会の白亜の聖堂。中の見学も可能。
ジャクソン広場…第7代大統領の記念碑がある広場。アーティストが露店を出したり、大道芸などが行われていて賑やか。
バーボンストリート…バーが建ち並ぶ通りで夜はひときわ賑わう。お酒のバーボンの意味もありますが、元々はフランス系移民がブルボン王家に敬意を払ってつけた名前。
蒸気船でミシシッピ川クルーズ…観光蒸気船でジャス演奏や食事を楽しみながらクルーズができる。
フレンチマーケット…アメリカ最古の市場と言われており、食品、日用品、お土産を購入できる。軽食スタンドも併設されていて飲食も可能。
セントルイス墓地…世界でも珍しい地上型墓地。装飾が美しく豪華で、墓地巡りツアーもある。
ジャズバーで音楽鑑賞…ミュージカル・レジェンド・パーク、プリザベーション・ホール、スポティッドキャット、ブルー・ナイル、d.b.aなどリーズナブルに生演奏を楽しめる。
セントルイス大聖堂
夜のバーボンストリート
ニューオーリンズでおすすめの食事
ガンボ…野菜や鶏肉、シーフードを入れてとろみをつけて煮込んだスープ。オクラや白米が入っているのも特徴。
ジャンバラヤ…ソーセージやエビを入れてスパイスを利かせたアメリカ版パエリア。
シュリンプクレオール…タマネギ、セロリ、ピーマンを炒めたルウにトマトとスパイスを加えたクレオール料理。
ポボーイ…柔らかいバゲットにシーフードをはさんだサンドイッチ。
クロウフィッシュ…茹でてスパイスやバターで味付けしたザリガニ。
オイスター…小ぶりの生ガキをカクテルソースやラディッシュソースなどで好みに味付けして食べる。グリルならガーリックバターやバジルソースもおすすめ。
タバスコ…ルイジアナ発祥の調味料。土産物屋ならどこでも置いていて、フレーバーも種類豊富。
ベニエ…植物油で揚げた四角いドーナツに粉砂糖をまぶして食べる。有名なお店はカフェ・デュ・モンドとカフェベニエ。
ガンボとグリルオイスター
カフェ・デュ・モンドのベニエ
おわりに
現地の雰囲気が少しは伝わったでしょうか?
マルディグラ当日は必死で得たネックレスですが、帰宅してみると使い道もなくただのガラクタになってしまいました。
あれだけ一生懸命だったのに…それだけマルディグラが活気に溢れていて、人を熱中させてしまう魔力を秘めているのでしょう。
ニューオーリンズはコンパクトな街で観光しやすいので、週末旅行にもおすすめです!
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