駐在中は海外での独特な日本人の繋がりがあるので、多くの人が人間関係を円滑にするために気を配っていますが、
やはり中にはそりが合わない相手もいます。
何かのきっかけで関係が壊れてしまったり、トラブルに発展することもあります。
今回は海外で生活している日本人同士の特殊な関係性と、見聞きした人間関係のトラブル、
実際に渦中になった体験談と対処方法を紹介します。
海外で生活する日本人という特殊な繋がり
海外では「日本人」というだけで親近感や連帯感がアップするのではないでしょうか。
旅先で日本語が聞こえてきたり、日本人に遭遇すると嬉しい、安心する、という経験がありました。
海外で生活し始めると特にその意識が強くなり、最初の頃は日本人というだけで自然に仲間意識が芽生えて、
周りの人はみんな良い人のように思っていました。
ところが、同じ海外に住む日本人でも背景や状況は様々です。
日本人というフィルターだけで安心して付き合うのは非常に安易で危険な考え方だと後に反省しました。
また、全然接点がない人でも1人か2人間に入れば知り合いの輪で繋がっているものです。
日本人が数多く住む地域でも、やはり日本人社会というのは狭いものなので、言動には気を付けなければなりません。
社内での人間関係
日本で生活していれば、(社内結婚同士を除いて)よほどのことがない限りは夫の会社の奥様と会う機会はないと思います。
ましてや定期的に連絡を取り合って交流するとなると特殊な関係上でのお付き合いとなります。
夫の職位&年齢、妻の年齢、駐在歴、子供の年齢といった要素を考慮しなければなりません。
子供の年齢が近いので、社内の人とプレイデートをしていたら、
「友達みたいに接してるけど、旦那さんは自分よりもすごく上の立場の上司ってこと忘れないようにしてね。」
と、夫に釘を刺されたことも。
新米駐妻の時は深く考えなかったのですが、在米歴が長くなるにつれて先輩方はどんどん帰国していきます。
入れ替わりがあっても新しく来るのは夫&自分よりも立場や年齢が上の方ばかり。
最後には一番若輩者なのに駐在歴が一番長くなってしまい、余計に気を遣うことが増えていました。
ただ、社内同士だと給与や駐在待遇の条件は同じなので社内事情や待遇に関するざっくばらんなお金の話はしやすいです。
歓送迎会で使ったレストラン。個室があってよかったです
日系企業同士の人間関係
駐妻同士なので立場や境遇が似ており、共感度は高いです。
ところが単に友達として出会い、普通の友達付き合いをしているつもりでも、
ご主人が取引先、合同プロジェクトをしている会社に所属していることはよくあります。
日本に住んでいた時よりも、職場と友達の境界線が薄くなっているように感じます。
そして日本人の繋がりは狭いので、うっかり話したことが広まってしまうことも。
日本で勤めていれば「○○さんのとこはこんな出来事があったみたいだよ~。」
と夫婦の話題に出ても、相手を知らないことが多いと思います。
が、駐在員だと夫同士も顔見知りだったり、直接は知らなくても仕事で繋がりがあったり、または社内の人が知っていたり…。
ただし、会社によっての待遇が違うので状況によっては噂や嫉妬の対象になることもあるので要注意です。
アンティーク食器集めをしている駐妻が多いので、グラスショーに行くと知り合いによく会います。
留学・研修生や現地採用、国際結婚組との人間関係
アメリカに住むきっかけや事情が異なっているので基本的に一歩引いた関係です。
駐在員とも交流はあるけれど、お互い立場が違うということで棲み分けしている場合が多いです。
駐妻の世界に疲れてしまった私としては、留学や国際結婚組との交流は気を張らなくていいので居心地が良かったです。
「こんなの留学組の中では言えないんだけど…。」というようなぶっちゃけトークもしばしばありました。
彼女たちが駐妻界隈の出来事に関わらないように、それぞれのグループの世界には踏み込みすぎないようにするのがポイントです。
良い意味で『経験した人にしかわからない』というのをお互いわかった上で接しているように感じました。
社内婦人会でのトラブル
規模は大きくありませんが、一応婦人会と称する集まりがありました。
とは言っても、年に3回ほどの行事で役割分担をしたり、赴任・帰任時の歓送迎会くらいです。
世に聞く強制参加のお茶会や食事会もなく、接点がある人とは交流するという具合でした。
タイミングが合わないと、中には半年~1年ぶりという人もいました。
ある日突然、古参の方(Aさんと呼びます)が婦人会の連絡方法を変えようと提案しました。
どうやら前回の集まりの際、先に到着していた数人と相談していたようです。
変更するのは問題ないのですが、何故か一人だけ外されてる方がいました。
社内の集まりなのにどうしてだろう?と不思議に思って理由を聞いてみると、
外されていた方はそのアプリを使っていないそうです。
余計に混乱して、詳細を尋ねました。
要はAさんはその方がアプリを使ってないのを本人に確認した上で、新しい方法に変更しようと言っているのです。
Aさんが相談していた人達もそれを知ってて誰も止めなかったことに驚きました。
Aさんの個人的な感情をとやかく言うつもりはありません。
私の知りえぬところで何か行き違いがあったのかもしれません。
が、会社という公的な繋がりである以上、この方法を実行してしまったら、ややこしい事態に発展してしまうかも…
私を含めてその経緯を知らない人もいたので、いつの間にかそんな状況になっていたことにぞっとしました。
結局は全員が利用できる手段で連絡を取れるようおさまりました。
Aさんは気配りができて親切にしてもらっていたので、この件は意外でした。
個人的な付き合いはともかく、社内での共通連絡事項に関することは私情を挟まないで欲しいと思います。
似たような事例は他社でも時々あるらしく、夫同士が仲裁に入ることもあるそうです。
解決しないときは片方が公の場に出ない宣言をしたり、同じ場にいてもお互い存在しないかのように振る舞うのだとか。
自分の友達同士でトラブル
次は共通の友達同士で関係が悪くなってしまったケースです。
BさんとCさんは同じ習い事に通っていたのですが、ある日を境にBさんの態度が激変しました。
Cさんに対してだけ冷たい態度で、話しかけても無視するようになったそうです。
Cさん本人は心当たりがなく、どうしていいか困って私に相談しました。
このようなわかりやすいケースはそっと見守っている人が多いように思います。
両方を知っている場合、どちらか一方に肩入れすると後々尾を引く可能性があります。
話は聞いてもその場で不用意な発言はしない方がいいです。
どちらに対しても公平な目で見て、自分の態度は変えないことが大切です。
そしてほとぼりが冷めるまでBさんとCさんを同時に誘うのはやめておくのがいいでしょう。
その後、Bさんから「最近Cさんと会ってる?」と聞かれることがあり、無難な受け答えをしました。
Bさんから事情を話してくれかも、と思ったのですがその話題は終わってしまいました。
もしかして、「何かあった?」って聞いた方が話しやすかったのかな?と反省しています。
原因はわかりませんでしたが、徐々にBさんの態度も和らいできて、
連絡を取り合ったり、習い事でも会話するようになりました。
カフェでまったりお茶している時に突然打ち明けられることも…
このように表面に出てくるケースもありますが、相手に直接態度で示さず、友達への愚痴で終わることも多いです。
「○○さんのあれ、どう思う?ありないんだけど!」
「もう絶対○○ちゃんとは遊ばない!」
強烈な言葉ですが、はっきり言える人はある意味正直で潔いと思います。
自分が当事者になってしまった
この件は駐在時代、本当に辛くて帰国しようか何度も考えていました。
渡米してしばらく経った頃に出会ったDさん。
来たばかりで心細いということで、習い事に誘ったり、友達を紹介して遊んでいました。
そのうちDさんに子供が生まれ、お互い違う友達もでき、会う回数は減っていきました。
個人的に誘っても反応は微妙だったので私とは距離を取ったお付き合いをしたいのだろうと思い、
タイミングが合えばたまにグループで会う間柄という認識でいました。
ある時、私の発案で友達何人かと遊びに行くことがありました。
当時、よく連絡を取り合っていた人に声を掛けました。
その話を伝い聞きしたDさんが誘われてないことに激怒し、過激なメールが送られてきました。
タイミングで誘ったり誘わなかったりあると思います。
私も共通の友達が何かするときに誘われないこともありました。
後で知って寂しい気持ちにはなりますが、相手に悪気はないのだと思います。
Dさんにはこちらの意図が伝わるように丁寧な返信をしましたが、彼女からの反応はありませんでした。
なので私はその時点で終わったと思っていました。
元々日常生活でDさんとの接点はほぼなかったし、偶然鉢合わせてしまった時は仕方ないくらいに考えていました。
しかしそれだけでは終わらず、彼女は私が通っていたESLに参加するようになり、
「○○さんに酷いことをされた」と吹聴しました。
狭い海外の日本人社会で相手を居心地悪くさせるには実に効果的な方法です。
困ったのは共通の友達です。Dさんにも私にも気を遣っていたと思います。
何人かが心配して相談に乗ってくれました。
事情を聞いたある友達の感想は「そんなことで怒るなんてお子ちゃまで面倒だね~。」と。
そうなんです。それまでは気付きませんでしたが、Dさんは機嫌を損ねると面倒な人だったのです。
その事件以降、私はグループで何かする時は誘われなくなりました。
前述した共通の友達同士のトラブルは静観するというセオリー通りです。
「知り合いの集まりに誘われないと厄介な人に激変する」というタイプのDさんを刺激しないことを優先したのだと思います。
本当のところ友達がどう思っていたかわかりませんが、個人的にお付き合いは続いていたので、当時はそう捉えていました。
頭ではわかっていたのですがFacebookやInstagramで
私を除いた集まりの写真がアップされると、それを見るたびに落ち込みます。
次第に、「もしかして誘われないのは私が周りに嫌われているだけ?」
「結局みんなDさんを優先してるってことじゃないかな…。」と考えるようになりました。
そのような状況が1年以上続き、Dさんの本帰国によって結末を迎えました。
以前のように誘われるようになりましたが、それも変な感じがして事件前のように純粋に友達付き合いをするのは難しかったです。
運が悪かった、と言ってしまえればいいのですが、
要は私がDさんの本質を見抜けずに、触れてはいけないところに触れてしまったという失敗でした。
トラブルに遭ったときの対処方法
自分が遭遇した大きなトラブル以外にも噂で似たような状況を知ることは結構ありました。
友達との会話で話題にしたときに「実は事情があって○○さんとは関わらないことにしてるんだ。」と言われたこともあります。
ありきたりかもしれませんが、私なりのトラブル対処法を紹介します。
自分の知り合い同士のトラブルの場合
・公平な立場でいる
・相手が話したくないなら追及しない
・相談されたら真摯に対応する
自分がトラブルに巻き込まれた場合
・相手と距離を置く
・第三者に相談する(トラブルの相手を知らない人に話すだけですっきりします)
・攻撃的な態度なら、他の人間関係ごとばっさり捨てる
・相手と無縁の新しい人間関係を築く
相手と距離を置きたくても、向こうから近づいてきたり、小さなコミュニティで物理的に距離を取りづらい場合もあると思います。
また、誰かに相談したくてもできない場合もあります。
当時は同じ悩みを持つ人がいないか、ネットで検索して解決方法を探していたのですが、
人間関係においては修復したり解決することは容易ではないのだとわかりました。
私にとって一番効果的だったのは共通の友達に相談するよりも、
トラブルの相手をまったく知らない人に相談することでした。
双方を知っている人に話すと、どうしても気を遣わせてしまうからです。
また、帰国してから気付いたのはTwitterには駐在や海外在住中の人もたくさんいて、交流を持っているということです。
Instagramだと華やかなキラキラした海外生活の一部をアップしている人が多いですが、Twitterはリアルな現状や悩みを発言しています。
身近に相談できる相手がいない、日本人コミュニティが小さすぎて息苦しいという場合は
ネットの力を借りて悩みを軽くするという方法もあるのです。
おわりに
人間関係のトラブルはなるべく避けたいと皆が思っているでしょう。
気を付けていても思わぬ形で遭遇してしまうこともありますが、
そんな時は一人で悩み、抱え込まないのが一番です。
どうか皆さんが心穏やかな駐在生活を送れることを願います。
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